きのう、深夜にかなりグダグダと書いた駄文の方向性をもっと深く、スパッと言い当ててくれた動画がアップされていたので引用します。
2011年12月4日に行われたmyJapan Conference 2011での広告批評元編集長・東北芸術大学教授 河尻亨一さんのプレゼン。14分少々の動画ですが学生さん向けに分かりやすく、淀みなく話されるのであっという間です(さすが)。
テクノロジーとコミュニケーションの融合 次の広告とは?
きのう書いた「最近めっきり なんだかなぁの広告」に対して、コミュニケーションとテクノロジー、そしてクリエイションがキーになるという話はしっくり来ます。そのことは今年のカンヌで実際に河尻さんとお酒を飲みながら語ったことでもあるので、あの晩を思い出した気分です。
ただ、ひとつ、カンヌで酔っ払いながら語気を強めていた部分を話してくれた下りが個人的には興味深かった。
「テクノロジーは発達して揃っているが、クリエイションとコミュニケーションが薄い」
それを「ハングリーさ」というジョブズも日清も使ったひと言に集約し、さらに「楽しもう、伝えようという感覚」をつぶす文化や空気が邪魔くさいという話につながっていく。学生さん向けにすっごくシンプルに話されてますが、いちばんしっくりきた部分です。
ここ最近、売れに売れて100万部に到達するのも時間の問題といわれているスティーブ・ジョブズの自伝を毎日iPhoneで読みながら通勤しているのですが、あの人、生前に聞き及んでいた人物像以上に、そうとうクレイジーです。イヤな奴です。「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」ってジョブズが言った言葉じゃないかと思うほど非道な一面もぜんぶ書かれていて、本としては面白いです。ホントの話としては笑えないですが。
本からは「ジョブズが売っているのは製品ではなく体験である」ということがよく伝わってくるのですが、体験を生み出すために1ミリも1ピクセルも妥協しない姿勢がどこから来るのかといえば、ジョブズ本人も言う「情熱」以外のなにものでもありません。
それが河尻さんの仰る「楽しもう、伝えようという感覚」でもあるのかなと。かなりエモーショナルで精神的な部分に結論が向かっていったのが興味深かった。やっぱそうだよね、根底だもんね。
こういうお話を聞いていると、時代は総合広告代理店じゃないな、と思ったりもします。自分は代理店直下の制作会社にいるので上を見て憧れる気持ちも少なからずあるのですが(年収とか)、そこの中で本気で面白いことを仕掛けている人たちは、彼ら自身が代理店でのこれまでの働き方に多大な危機感を抱いて必死に動いている印象です。恐竜のように大きいサイズでは環境に適応できないまま絶滅してしまう。そのことをあらかじめ知っていて、個人で、チームで、必死にやっている。
正しくは、代理店であってもプロダクションであっても、中から既存のルールを壊していける人だけが先頭で走っている。
おっと、この流れで書き進めると自分のいるところも規模的に恐竜であるという結論になって組織論になっちゃいそうなのでやめます。大事なのは個人の情熱と、聴衆を魅了するストーリーテリング。プレゼンテーション。
プレゼンテーションという視点でも、河尻さんの今回のムービーは興味深いです。ジョブズっぽいというか、場の感じから言えばマイケル・サンデル先生っぽい。
テックが発達してソーシャルメディアとスマートフォンが普及してコミュニケーションの方法が変容してきて、いろんなスピーカー(有識者)が未来を予測するのに大忙しです。
その中身以上に、プレゼンに熱があって抑揚があって心を掴むかどうかを僕は見るようにしています。コミュニケーションの話をしているのに話し方が下手だったりつまんなかったり眠くなる人はニセモノだと思うから。その意味でも、とてもいい(生意気ですね、すみません)ビデオでした。参考にしたい。
モヤモヤしてる今見られてよかったです。